避妊去勢手術する?しない?その判断材料

自分の家族であるその子の避妊や去勢の手術をするかどうか。迷っていませんか?

『メリットやデメリットは獣医師や周りの人の意見を聞いて、色んな記事を読んで、理解はしている。けど、やはり決心がつかない。』

そういう方のために、獣医師である僕が、少し違った角度からの判断基準を提供します。


結局、判断材料にすべきもの

手術のメリットやデメリットだけを判断材料にしても、結局飼い主自身の気持ちの整理がつかないことも多々ありますよね。
そこで、こういう考え方はいかがでしょうか。

未手術だったことにより、将来、獣医師や周囲の方々が恐れていたこと(腫瘍などの疾病発生、産まれた子犬子猫の世話ができない、里親がみつからない等)が起こった際、自分が後悔しないか

腫瘍で苦しそうにしている子を見たときに自分が後悔しないか?

親犬猫が育児放棄したら、少なくとも1か月、自分が仕事を休んで親犬猫に変わって1日何回もミルクあげられるか?

その時、『手術していれば…』と後悔するのが一番あってはならないことです。後悔するかもしれないと、少しでも思ったなら早めの手術をすべきです。

当然、最初に手術を勧めてくれた獣医師、周囲の方、動物愛護団体からは、「だから言ったのに」という目でみられることになります。

あなたの思った以上に費用もかかるかもしれません。

実際、未手術が原因と思われる疾患になった犬猫の飼い主をたくさん見てきました。

その時、胸を張って

「病気になったけど、定期健診をしていて、早期発見できた。治療も積極的にお願いします。」

「治療大変だったけど、うまくいってよかった。」

と言えますか?

僕は正直、後悔する飼い主さんを見ると腹が立ちます。だから言ったよね?と思ってしまう。

でも、前向きにベストを尽くす飼い主さんを見ると、この人の判断は間違っていなかったと思えます。応援したくなります。全力で力を貸します。そこに「ほらみたことか」という感情は生まれません。

勿論、飼い主で判断して動物を不平等に扱うことはありませんが、気持ちの持ちようが異なることは否定できません。人間だもの。

意外?ドイツでの考え方

ひとつ、動物福祉先進国と言われるドイツでの考え方を紹介します。

ドイツでは簡単にいうと『むやみやたらに動物を傷つけてはならない』という法律になっています。
これは日本も同様で、普通ですが、避妊去勢すら『むやみやたらな傷つけ行為』に該当するという考え方があります。

これはドイツ動物保護連合(簡単にいうと全土のティアハイムを取りまとめている組織)の獣医師に直接聞きました。


https://www.tierschutzbund.de/

日本同様に病気の予防等を目的とした手術が浸透していましたが、高確率で罹患するといっても、それはただの確率論であって、その子はならないかもしれない。当然今の段階ではなっていない、今後もならない可能性もある子にメスを入れるのは、不要という理論です。

これを聞いた時、僕はハッとさせられました。

おそらく日本の界隈では、この考え方が日本でも浸透しないでしょう。しかし、日本で浸透しないからダメな考えというわけではないですよね。
というか良し悪しではなく、そう考えるならそれでいいってだけの話です。飼い主の判断ですから。

実際、確かにドイツの動物福祉意識は高いですけど、家の中にいるペットの手術率は日本とあまり変わらないと思います。そんなにみんながみんな手術してませんよ。
では、どういうところで動物福祉意識が高いことを感じるかというと、猫を外に出す場合、迷惑をかけるから必ず手術が必要と考えています。

一見、動物福祉というより協調性の高さのように思うかもしれませんが、動物が迷惑をかけることにより、最終的に不幸になるのはその動物だということを理解しているのです。ペットは愛護だけでなく、管理しなければならないことも必ず同時に考えています。そういう点では動物福祉の意識が高いといえます。

自分のペットの手術をするかどうかを迷っている人は勿論、動物保護活動家の方々もこういう考え方もあることは、知っておいて損はないでしょう。

「未手術=悪」ではない

犬猫自身も、飼い主も、とりまく環境にとってもメリットの方が大きいが故、獣医師は手術を勧めます。それはいち主治医としてでもあるし、公衆衛生を考慮すべき社会的立場からでもあります。

また、今の犬猫をとりまく環境(殺処分や外でのたれ死んでいる犬猫が多い)をよく知っている動物愛護活動家さんも、産まれた命が不幸になるのを恐れて、手術を勧めます。

ただ、それが飛躍して、未手術=悪の方程式でしか考えられない人もいるようです。そして、そのような人たちに手術しないとかありえないくらいの言われ方をし、困惑している人もいるでしょう。

しかし、これらはいちペットとして生涯可愛がる子への考え方と、公衆衛生を含む社会的利害としての考え方が混同しています。

あなたが悩んでいるのは、あなたの家族のことです。いちペットとその飼い主でしかありません。あなたとその家族だけ考えた場合、 社会的利害でのメリットは関係ありません。手術のメリットもデメリットも理解した結果、手術は絶対必要なものではない、手術をしなくともキチンと管理できると考えるなら、僕はそれでいいと思います。

可愛いこの子に子供を産ませてあげたい。この子の子供を見てみたい。そういう感情が生まれるのは自然なことでしょう。

世間一般的には、手術した方がいいという意見がメジャーであることを理解した上で、それだけ愛情を持って手術の実施を熟考、葛藤していることが一番の愛情だと思います。

ここまで仕入れた知識をトータルして、判断してください。そして、その判断に胸を張りましょう!

まとめ

  • 避妊去勢手術のメリットは大きい
  • そのメリットの恩恵を受けず、後悔することは絶対にないか
  • 海外では、不必要な手術と考える場合もある
  • 最後は自分が全責任を取る覚悟があるか

念のため最後に書いておきますが、犬猫は管理すべきペットであり、管理責任が問われます。未手術により、その子自身やその子犬猫、飼い主であるあなた、更に家族を含めた周囲の人が苦労、迷惑するのもすべてあなたの責任です。そこは忘れないように。

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